現代資本主義研究会「ヨーロッパ金融危機と世界経済のゆくえ」開催のご案内

<開催趣旨>

 リーマン・ショックの影響がなくならないうちに、ギリシャの財政状況が明るみになって以後ヨーロッパ金融危機の嵐が吹き荒れている。危機は2011年秋からギリシャ、イタリア、スペインだけでなくフランス、ドイツの国債市場の不安定が現われ、ヨーロッパ全体に及んできている。通貨統合のあり方、ヨーロッパ危機の世界経済への影響が検討されなければならない。

 通貨統合のあり方に関しては、以下のことが検討されなければならないだろう。ギリシャ、スペインなどの経済力がドイツ、フランスなどよりも劣る諸国がユーロへ参加することにより、ユーロはそれらの国にとっても基軸通貨になった。為替相場、短期金利においてギリシャ、スペインなどとドイツ、フランスが同水準になったのである。ユーロ相場は想定されるマルク相場よりも安く、リラ、ペセタ、ドラクマなどの相場よりも高く推移し、ドイツの経常黒字を、ギリシャ、スペインなどの経常赤字を生み出した。また、ギリシャ、スペインなどへドイツ、フランスから大量の資金が流入する諸条件が作られた。それは、アジア通貨危機前の東アジアにおける対外金融取引の自由化に相当するものであった。

ユーロ建の経常収支のアンバランスはユーロ建の投資収支によってバランスされてきたが、ギリシャ等の危機はそのバランスを崩壊させ、TARGET Balancesの累積、ドイツ、フランス等からの種々の救済融資とならざるをえないものになった。また、ギリシャ、イタリア、スペインなどの財政赤字は各国の国債への海外からの投資によって賄われたことから、財政と国際投資の関連について検討を加える必要がある。

2011年秋から危機はヨーロッパ全体に及んできたことから、危機の世界経済への影響についても検討を加える必要がある。国債市場の不安定はフランス、ベルギー、ドイツにまで進んできたことで大きな株価下落が全世界に及んでいる。また、ユーロの為替相場がユーロ導入以後の最安値を記録し、それらの影響は全世界の実体経済に現われてきて、リーマン・ショック以上の世界不況=世界恐慌を引き起こしかねない事態になってきている。中国、インドなどのBRICsを軸とする「デカップリング」状況の「再来」はありうるのだろうか。

 われわれは以上の新たな事態についての研究を深め、研究視角を磨かなければならない。どうか、シンポへの数多くの研究者の参加をお願いしたい。(奥田宏司)

 

日時:2012年1月28日(土)13:30-17:00

会場:立命館大学衣笠キャンパス衣笠セミナーハウス K204会議室(金閣寺裏、衣笠バス停から馬代通りを北へ10分)

司会:奥田宏司

報告者:星野郁、岩橋昭廣、安木新一郎、高田公、奥田宏司

参加申込不要、資料代500円

 

 

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