理事長挨拶

9月21日に開かれた総会において、これまでご尽力いただいてきた中谷さんに代わって理事長の職を引き受けることが承認されました。中谷さんにはお疲れさまでしたとお礼の言葉を述べさせていただきますとともに、基礎研の現状をみるに、特に財政面での深刻な状況を目の当たりにしますと、大変な舵取りになると気を引き締めているところです。
総会での会計報告で明らかにされていますが、6年間に渡って赤字が累積し各種基金を取り崩して活動を続けている状況はこれ以上放置はできません。事務所移転の具体的検討、研究会での事務所使用料の徴収、基礎研ニュースのメール配信の原則化、『経済科学通信』の所内版下作成や年2回発行の検討など経費削減に極力努めなくてはなりません。しかしながら、経費節減とともに大切なことは、全国の支部活動を活性化して所員所友読者を拡大し、「働きつつ学ぶ」要求や資本論の人間発達読みと言う基礎研の存在価値が社会的に認められてきていることに積極的に応える活動を旺盛に展開していくという財政基盤を支える組織強化を図ることです。総会では、事務局人件費の来年2月からの一定削減を盛り込んだ予算が決定しましたが、基礎研活動を支えてくれている事務局員にしわ寄せすることはなんとしてでも避けたいです。予算説明でもありましたが、現状のまま経費節減が進まず、組織強化の成果もあげられないということなら、来年2月からの人件費の一定削減に手を付けることになります。
総会後の理事会でも話し合われましたが、これまで長きに渡って基礎研活動を支えてきていただいたいわば旧友の方々の中に所員所友費の大幅な滞納を抱えてられている方もいます。これから一人一人に声をかけ実情を教えていただき、できれば基礎研への想いを新たにしていただきながら、滞納額の減少や再び基礎研活動をともに開始いただけるよう働きかけをさせていただきます。経費削減とともに現在の所員所友の方々が滞納することなく会費を納めていただければ現在の活動は維持できます。こうした状況をご承知いただき、ご協力いただきたいです。
ちなみに、今回の総会では5名の所員所友の方が新規に加入いただけました。来年春の研究交流集会を準備し50周年の記念事業の一環として共同研究の出版活動に取り組んでいただいている福島での取り組みの中から生まれた成果が大きく貢献していることを所内の方々と喜びとともに共有したいと思います。総会後にも1名の所友の方が加わってくれました。また、自由大学院担当を中心として、『経済科学通信』の読者会が新たに組織化されました。全国の所員所友のみなさん、それぞれの地域で基礎研への期待に応える活動を一歩でも二歩でも取り組んでいただくよう訴えます。
私自身、理事長職は前職の中谷さん、前々職の大西さんのその前に一度勤めさせていただいたことがあります。今から振り返ると、その時には何ができたのかなと反省することが多かったように思います。当時は本務校での要職で時間が大きく支配されていたことは事実です。現在は退職し大学行政の諸々から解放されるという精神的ゆとりが生まれてきていることは確かです。とはいえ、老体とは決して言いたくはありませんが何につけても以前と同じ体力気力という訳にもいかないことも事実です。理事会、常任理事会、事務局のみなさんとともに、何よりも全国の所員所友読者のみなさん、これから基礎研活動に参加いただける多くの方々とともに、経済学・社会科学の古典と現実感覚の融合、資本論の人間発達読みを大切にしながら、働きつつ学びあう研究者と市民、労働者との協同事業を推進して参りたいと思います。
よろしくお願いします。

理事長 小沢 修司