東日本大震災について
-社会科学団体としての責任と自覚の表明-
3月11日に発生しました東日本大震災から一か月がたちました。この未曾有の地震と大津波により、約3万人の死者・不明者が出ました。私ども基礎経済科学研究所の内部でも命に別状はないものの福島地区の会員が被災されましたが、すべての被災者に心からお見舞い申し上げ、一日も早い復興を願わずにおられません。
しかし、この震災は単なる「お見舞い」と「復興支援」で済まない要素をあまりにも多く持ちすぎています。津波対策は完全であったのかどうかといった疑問に加え、やはり原子力発電所の防災対策の不備は弁解の余地はありません。事前に指摘されていた今回の危険性を無視し続けてきた東京電力の姿勢、特に安全無視の利潤追求の姿勢は資本主義という仕組みの再検討までをも社会科学に求めていると思われます。
また、原子力偏重のこれまでのエネルギー政策の問題、防災に関する国際協力の姿勢の問題、政治のリーダーシップの問題を含む政治の在り方も厳しく問われています。民主党政権もつい先日まで「トップセールスでアジアに原発を売りにいく」と言っていたのですから、彼らに東京電力を批判する資格はありません。
したがって、私たちは今回の事態を見て、日本の社会、日本の政治が根本的な転換を要していると感じています。そして、自然科学者は緊急に各種の課題に取り組み、私ども社会科学に関わる者も緊急に日本社会・日本政治の根本を問い直す課題に取り組まなければなりません。ここにその責任と自覚を表明するものです。
2011年4月11日
基礎経済科学研究所常任理事会