●東京支部では下記の要領で若手研究者報告会を開催します。
開催日:2018年7月28日(土)
14:00~17:00
会場: 慶應義塾大学三田校舎北館第3会議室
参加費:500円
報告:
①田井勝・菰田レエ也:「サード・セクター組織によるコミュニティ形成の理論的基盤の検討」
コメンテーター・北島健一(立教大学)
報告の趣旨:
本報告では、社会的に排除された状態の人々の包摂を試みるアソシエーションをどのように理論的に説明すれば良いのか考察している。現在のサード・セクター論では、「媒介」パラダイムが提起されている。すなわち、他のセクターにおける組織や諸要素を巻き込む組織としてアソシエーションを捉えることができるのではないかと説明している。本報告では、こうした媒介パラダイムを視野に置きながら、社会的に排除された状態がいかなる状態なのかを明らかにした上で、そうした状態からの脱却を図るために、親密圏と社会関係資本の構築がアソシエーション活動にとって必要であると提起する。
②有馬光雄「労働と科学技術をめぐるカール・マルクスとハンナ・アーレント
~「自由人の連合体」の新たな展望~」
技術者の視点からのコメント・平松民平(所員)
報告の趣旨:
政治経済学上の哲学論争の大きな課題に、自由と平等の概念を世界の内に如何に実現し得るかという問題がある。本報告は、労働と自由を巡る政治経済学上の哲学問題の、マルクスとアーレントを中心とする議論を通じて、西洋哲学と科学技術の発展形態とその欠陥について考察を深め、人間発達の本質を探究することを目的とする。
この課題と本質を解き明かす鍵は、「世界とは何か?」「人間とは何か?」との問いに格闘し真摯に向き合うことだ。マルクスとアーレントを中心とする先人の哲学・思想を手がかりに、「自由人の連合体」と「公共活動の世界」についての新たな関係性の探求により、人間存在の自由と共生を根底から問い直すことになる。
生産、交換の過程と資本からの科学技術の解放による、思考と行為、過程との再転倒の中に、労働における自由への、更に労働からの自由への道程がある。人間労働による、生存と利潤追求を本質とする社会を克服し、人間発達を基礎づける科学技術の精神的な共有理解を基に、人間存在の自由と共生の地平を論究するものである。