本部主催東京支部企画「現代資本主義研究会」
先進国経済の長期停滞をどう論ずるか-欧米論争へのマルクス経済学的回答-
途上国の成長が続いている一方で、先進資本主義諸国の低成長率が学界でも論議の的となっている。近代経済学の分野ではアメリカのローレンス・サマーズ元財務長官やロバート・ゴードン教授が「需要重視派」と「供給重視派」を代表して論争を行った他、ドイツのポストケインズ派学者エクハルト・ハインの研究も参戦し、長期停滞論について需要供給の両サイド、さらに政府の政策的弊害の3者を遡上にのせる包括的な視点を与えている。本田報告は、これらに加え、ヨーロッパのラディカル派の議論も紹介しながら、マルクス派としてのあるべき議論を探る。
他方、平野報告は、近年の長期停滞現象を長期トレンドと中期サイクルの両面から捉えようとするものである。平野氏によるとアメリカ経済は1960年以降に1960〜1991年と1991〜今日の少なくとも2回の中期的な産業循環があり、近年の長期停滞はその中期化された産業循環の不況局面であると捉えられる。同時に、この2つの中期的循環は同じレベルでの繰り返しではなく、後者の方がより問題を深刻化させており、その意味で停滞に向かう長期的なトレンドも見出すことができる。長期と中期の2つの視点から今日の長期停滞現象を捉える。
本研究会ではこれらの問題について議論する。
5月13日(日) 午後14:00-17:00
会場 中央大学後楽園キャンパス5133教室
(地下鉄春日駅歩6分、後楽園駅歩5分、JR水道橋駅歩12分)
参加費 500円
司会 米田貢(中央大学教授)
報告者
平野 健(中央大学教授) 「長期トレンドと中期サイクルからみた長期停滞」
本田浩邦(獨協大学教授)「長期停滞下の資本主義経済