今回の現代資本主義研究会は、東京支部として継続してテーマとしてきた「日本資本主義論」を国際的な視野に拡げ、この間、活発に活動されているふたりの若手研究者に報告いただくこととなりました。
おひとりは、中央大学の平野健氏で、昨年出版された高田太久吉編『現代資本主義とマルクス経済学』新日本出版社の中で「現代グローバリゼーションと帝国主義」と題する章を書かれています。ここでは、平野氏は「現代グローバリゼーション」を帝国主義の最も発展した現代的形態として捉え、それまでの帝国主義の歴史を総括されています。
他方の報告者は、所員でもある徳永潤二氏で、この間、アメリカ・マサチューセッツ大学アマースト校のジェラルド・エプシュタイン教授と共同研究されてきた成果の発表となります。氏らの理論的枠組みは、ミンスキーの金融不安定性仮説で、この立場から、米欧の大手金融機関のバランスシートの急膨張が「影の銀行システム」下で国際通貨ドルの内生的な供給に支えられて今回の危機を生んだことが明らかとされます。「現代グローバリゼーション」の大きな特徴としての「国際金融危機」についての最先端の学術研究をお聞きできます。
おふたりのご研究は、マルクス経済学とミンスキー理論、グローバル化問題と金融危機問題といった色合いの相違がありますが、そうした「色合いの相違」を前提に共に議論できることが重要と思います。是非、多くの参加者のお越しをお願いします。
日時 5月17日(土)13;00-17:00
会場 慶應義塾大学三田キャンパス南校舎4F441教室
報告者
平野健(中央大学) 「現代グローバリゼーションと帝国主義」
徳永潤二(獨協大学(4月以降))「2000年代における世界的な金融脆弱性の高まりと国際通貨ドルの内生的供給」