日本学術会議で検討中の「経済学分野の教育参照基準」論議に疑問を呈す「経済学分野の参照基準」を考えるシンポジウム

日本学術会議で検討中の「経済学分野の教育参照基準」論議に疑問を呈す「経済学分野の参照基準」を考えるシンポジウム

 

私たちは日本学術会議で検討中の「経済学分野の参照基準」の原案が経済学の教育と研究における自主性・多様性、および創造性を制約するものになりかねないという重大な懸念を抱き、その内容の根本的な是正を求める署名運動を展開し、1200近い賛同を得ました。また、それに前後し、経済理論学会、進化経済学会、経済教育学会、基礎経済科学研究所、社会経済史学会、経済学史学会、日本地域経済学会、フェミニスト経済学会、漁業経済学会等が反対の意志を示した声明や意見書・要望書を発表し、大きな問題となっています。

日本学術会議では、この問題についての公式の公開シンポジウムを昨年12月4日に開催しましたが、原案に批判的なパネラーが少なかったこと、フロアーからの意見表明の時間が極めて限られていたことなどから、参加者からは不満の意見が強く、しっかりした討議の場が必要だとの強い意見がでています。このため、この度、以下の要項で改めて「経済学分野の参照基準」を考えるためのシンポジウムを開催することとなりました。

私たちも、高等教育の普及のもとでの「質の保証」を国際的な視野にもとづいておこなうために専門分野ごとに「参照基準」をつくることの意義を否定しません。しかし、そのような「参照基準」は、教育内容・カリキュラムの標準化をはかるものではなく、それぞれの専門分野の教育にあたる大学・学部・学科とその教員たちの自主性と多様性を前提としたものでなければなりません。「教育の質」「国際的通用性」といううたい文句のもとに一定のモデルを押し付けるものになれば、「参照基準」は高等教育の画一化を促進するだけのものになるでしょう。私たちは、文部科学省の依頼にこたえて学術会議が専門分野ごとの「参照基準」作成の課題を引き受けたのは、「日本の科学者コミュニティを代表する機関」として、それぞれの専門分野で研究と教育をおこなっている科学者の自主性と多様性を前提とした「参照基準」を作成することによって、教育面においても質の保証と自主性・創造性の確保を両立させるためであったと考えます。

本シンポジウムには参照基準の策定にあたっている専門分科会の岩本委員長もお越しいただけることとなりました。是非多くの方々がお集まりくださり、かつ討論に参加してくださることを願っております。

 

  時: 2014312()14:00-17:00

  場:     慶應義塾大学三田キャンパス東館8F東館ホール

経過報告:宇仁宏幸(京都大学教授、「署名」事務局)

モデレータ:柴垣和夫(東京大学名誉教授、日本学術会議元会員)

パネラー:

   岩本康志(東京大学教授、日本学術会議経済学分野参照基準分科会委員長)

   八木紀一郎(摂南大学教授、経済理論学会会員)

   吉田雅明(専修大学教授、進化経済学会会員)

   橋本 勝(富山大学教授、経済教育学会会員)

   大西  (慶應義塾大学教授、基礎経済科学研究所所員)

   鈴木 誠(愛知大学教授、日本地域経済学会会員)

   足立眞理子(お茶の水女子大学教授、フェミニスト経済学会会員)

   遠藤公嗣(明治大学教授、社会政策学会会員)

閉会挨拶  有賀裕二(中央大学教授、進化経済学会会員)

 

経済学分野の教育「参照基準」の是正を求める全国教員署名呼びかけ人

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