労働分野の規制緩和の一環として、労働者派遣制度の見直しがにわかに動き出し、8月下旬に有識者による研究会の報告書が出され、前回の改正で規制色が強くなった派遣法を見直し、企業にとって派遣労働者を使いやすくする大幅な規制緩和への方向を示したものです。その内容は、派遣期間に上限のない「専門26業務」を廃止し、派遣労働者のうち、無期雇用者は期間制限なく働き続け、有期雇用者は3年ごとの入替で派遣継続が可能、日雇い派遣の抜本的な見直しも視野に入れ、厚生労働省は来年の通常国会に労働者派遣法改正案を提出する方針と、報じられています。これに対して、民主法律協会、日本労働弁護団、労働界側などは、派遣法制定の基本である常用代替防止原則をないがしろにするものとして、この大改悪に反対する声明出しいます。このような派遣制度における規制緩和は、派遣労働そのもののあり方を変えるだけでなく、労働者の働き方・暮らしそのものを不安定にするものです。今回の研究会では、NPO法人「働き方ASU-NET」で派遣法「改正」論議の動向を積極的に発信されている増田弁護士に、派遣制度見直しの動きを報告していただき、続いて、派遣労働についてこれまで多数の論稿を書かれてきた横山先生に、日本の雇用システムにおける派遣労働の位置づけとその実態を報告していただきます。
日時:10月19日(土)午後2時~午後5時
会場:立命館大学朱雀キャンパス 209教室
テーマ「労働者派遣制度見直し論議と派遣労働の実態」
報告1:増田尚(弁護士:大阪弁護士会・きづがわ共同法律事務所)
「労働者派遣法『改正』の動きをたどる」
報告2:横山政敏(立命館大学経済学部教授)
「日本の雇用システムと派遣労働」
参考文献:
横山正敏「派遣労働の規制のあり方―常用型派遣の多様な実態について―」『立命館経済学』61巻1号、2012年5月