テーマ:「中川スミ『資本主義と女性労働』の現代的意義」
報告:青柳和身(岐阜経済大学名誉教授)
コメント:角田修一(立命館大学教授)
当研究所所員であった中川スミ氏の著書がこの度出版されました。今回の現代資本主義研究会では、この本の出版編集にあたられた青柳和身氏から、この本の現代意義を語っていただきます。 以下、報告者の青柳和身さんからの寄せられた言葉です。多くのご参加をお待ちしております。本書の際立った特徴は、中川氏の『資本論』の研究蓄積を前提として、フェミニズム諸理論の誤解にもとづく『資本論』批判にたいして、『資本論』の上向的論理体系を基礎とした批判を通じて、フェミニズム理論とマルクス経済学との理論的統一化を行っていることであり、同時に性差別を内包する「家族賃金」を賃金要求原則とした多くのマルクス経済学的賃金論がフェミニズムとの理論的対立の原因となっていることを批判していることである。また労賃論の研究蓄積にもとづいて、性差別的「家族賃金」から社会保障による未成年者や高齢者の所得保障を前提とする個人単位賃金によるジェンダー平等化の可能性を孕む先進資本主義の現代的動向を明示しつつ、その発展を通じたポスト資本主義への移行展望を提示している。本報告では「家族賃金」と家事労働との結合を前提とする家族単位的労働力再生産としての資本主義的必要労働様式と資本主義的階級関係再生産との関係について検討しつつ、労働力再生産の個人単位化の歴史変革的意義について考察する。
・中川スミ著 青柳和身・森岡孝二編『資本主義と女性労働』 桜井書店 2014年3月
日時:2014年8月2日(土) 16:00-18:00
場所:市民大学院(文化政策・まちづくり大学校)
〒600-8433 京都市下京区高辻通室町西入る繁昌町290番地(旧成徳中学校2F)
電車でお越しの方:地下鉄「四条駅」南改札口より、烏丸通りを南へ約100m、高辻通りを西へ約150m・バスでお越しの方:市バス4・26系統 バス停「烏丸松原」下車、高辻通りを西へ約150m
資料代:500円 *一般参加歓迎、事前申込不要