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近代経済学 |
生産的消費 労働生産物は生産手段(生産財、機械装置やその部品などの労働手段や原料などの労働対象)と生活手段(消費財)に分けられる。生活手段はそれが生活過程で消費されることによって、直接に人びとの要求(ニーズ)を満たす。すなわち彼らの生活が生産され、彼ら自身が再生産される。これを個人的消費という。 それに対して生産手段はそれが労働過程で消費されることによって、間接に人びとの要求を満たす。すなわち新たな生産物が生産される。これを生産的消費という。生産物の価値に表される労働時間は、直接の労働時間のほかに生産的消費される生産手段を生産する労働時間も含む。すなわち生産的消費の過程で、労働の働きによって生産手段の価値は保存され、生産物の価値に移転される。 生産手段のうち労働手段は、労働過程には全体として入るが価値増殖過程には一部分しか入らない。労働手段は姿を保ってくり返し使用されるが、その寿命(使用できる期間)は経験上予期されている。日々の生産物に価値移転される割合は寿命から計算され、労働手段は価値移転された分ずつ減価する。それは使用に伴う必然的な物質的損耗に基づく。だが損耗が価値移転の原因ではないから、予期せぬ損耗による減価分は価値移転とは関わりがない。予期されていれば旧式化など道徳的損耗に基づく社会的寿命であってもよい。 生産手段のうち労働対象は価値増殖過程には全体として入るが、労働過程には入らないで脱落する部分もある。労働対象は労働手段と異なり、生産的に消費されてその姿を失う。 労働生産物でない自然の土地、河川、太陽光、風、水、魚、森林なども広義の生産手段であり、労働過程において生産的に消費される。それらの資源・環境は自然に回復するとは限らない。それらの再生産およびそれにかかる費用をいかにして保障するかは現代の経済(学)の重要な課題である。 (1)マルクス『資本論』第1部第5章、第6章、第13章 (野口宏) |