基礎研WEB政治経済学用語事典

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 労働手段

 労働手段とは労働過程において労働対象への労働者の働きかけの媒体として役だつ物または物の複合体である。主要な労働手段は道具であり、それは労働者の肉体器官の延長として役立つ。道具が発展したものが機械や装置である。過去には飼育された動物が労働手段として主要な役割を果たした。労働手段は生産手段に属し、労働過程で生産的に消費される。
 
 フランクリンが人間を「道具を作る動物」と定義したように、労働手段の使用や創造は人間労働の特徴である。何が作られるかではなく、どのようにして、どんな労働手段で作られるかが、いろいろな経済的時代を区別する。労働手段は歴史的に人間の労働能力の発達を表すだけでなく、労働が行なわれる社会的諸関係をも表す。
 
 広義には労働するために必要な土地や建物や道路や河川も労働手段である。また全体労働の一員として部分機能を果たす労働者は、必ずしも自ら手を下す必要はない。その部分機能、たとえば設計や生産管理に必要な計算手段、測定手段、記録手段、通信手段は、全体労働としても広義の労働手段である。
 
 

(1)マルクス『資本論』第1部第5章、第6章、第12章、第13章、第14章
                                       (野口宏)