基礎研WEB政治経済学用語事典

人間発達
商品
貨幣・信用
賃労働
国家
利潤
世界市場
所有
帝国主義
唯物史観
弁証法
思想
土地・自然
流通・交通
生産力
人口
貧困
近代経済学
 所得

 正確な定義は、「生産規模を縮小せずに年々自由に処分することができる最大限」のこと。年間の生産額から、原材料などの中間投入額と資本減耗(減価償却費)を除いた残りにあたる。これは、一般に「付加価値」とも呼ばれ、賃金、利潤、地代などの生産要素所得や企業所得の形で現れる。
 
 経済全体では、これは年間の「最終生産物」の生産総額に等しい。最終生産物とは、「純生産物」
とも呼ばれ、年間のすべての生産物のうち、原材料などとして投入されたものと同じ分の中間財や、資本減耗相当分の固定資本設備財を除いた、残りの生産物のことであり、これがこの社会が自由に処分できる生産物となる。
 
 一国全体の所得水準は、国民経済計算によって計測されている。まず、年間の一国内の総生産額から中間投入額を除いたものが国内総生産(GDP)と呼ばれる。それに、海外からの、賃金、利子、利潤などの所得の純移転を加えたものが国民総生産(GNP)となる。ここから、資本減耗を除いたものが、「国民純生産(NNP)」で、さらにこれに、間接税を除き補助金を加える補正を行ったものが「国民所得(NI)」と呼ばれる。
 
 一国の所得水準は、正確には「国民所得」によって表現されるが、GDP他、上述のいずれの指標でも、概念上の本質的な違いはない。国民所得統計上は、売れ残りが出た場合、自分で自分から買って在庫投資したことと同様に扱い、その分も所得に加えられる処理をするので注意が必要である。もちろん、この場合、人々はいずれ生産を減らすか価格を下げるかして売れ残りを減らすので、この点での日常概念とのズレは本質的ではない。
                                        (松尾匡)