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近代経済学 |
マニュファクチュア マニュファクチュア(Manufacture)とは、分業に基づく協業のことであり、一般に「工場制手工業」と訳される生産形態のことである。 マルクスによれば、およそ16世紀半ばのイギリス産業革命が開始される時期、すなわち機械制大工業が出現する時期までが、「本来のマニュファクチュア時代」であった。その意味で、マニュファクチュアは最初の資本主義的工業生産の形態である。マルクスは、「同じ生産過程で、または同じではないが関連のあるいくつかの生産過程で、多くの人々が計画的に一緒に協力して労働するという労働の形態を、協業」と定義し、同じ資本家の指揮のもとでの協業は「歴史的にも概念的にも資本主義的生産の出発点」であり、「つねに資本主義的生産様式の基本形態」である、と述べている。 厳密にいえば、「機械制大工業」と区別される「工場制手工業」としての協業には、いわゆるマニュファクチュアだけでなく、「互いに補い合う多くの人々が同じことかまたは同種のことをする」共同労働を意味する「単純協業」も含まれると考えられる。マルクスは、「初期のマニュファクチュア」という表現を用いており、生産様式に関しては、同職組合的手工業の仕事場を工場という場において拡大し再現していること以外に、初期マニュファクチュアと同職組合的手工業との違いはほとんどないと述べていることから、彼は初期のマニュファクチュアを単純協業とみなしている。単純協業は分業に基づく協業に至る以前の形態ではあるが、「それ自体として集団力でなければならないような生産力の創造」を可能とするのである。 分業に基づく協業、すなわち本来のマニュファクチュアでは、この可能性がいっそう高まる。この理由について、マルクスは次のように述べている。単純協業に比べて、「労働の連続性や一様性や規則性や秩序が、ことにまた労働の強度が生みだされ・・・・・・一定の労働時間で一定量の生産物を供給するということが生産過程そのものの技術上の法則になる」からである。すなわち、「マニュファクチュア的分業は、手工業的活動の分解、労働用具の専門化、部分労働者の形成、一つの全体機構のなかでの彼らの組分けと組合せによって、いくつもの社会的生産過程の質的編成と量的比例性、つまり一定の社会的労働の組織をつくりだし、同時にまた労働の新たな社会的生産力を発展させる」からである。 (1)カール・マルクス『資本論』第1巻、第11章、第12章。 (廣瀬幹好) |