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近代経済学 |
協業 協業(Co-operation)とは、同じ生産過程で、または同じではないが関連のあるいくつかの生産過程で、多くの人々が計画的にいっしょに協力して労働するという労働の形態である。協業は、「資本主義的生産様式の基本形態」である。 協業が典型的にみられるのが、工場である。「歴史的にも概念的にも資本主義的生産の出発点」をなす工場は、かなり多数の労働者が、同じときに、同じ空間(または同じ労働場所)で、同じ種類の商品の生産のために、同じ資本家の指揮のもとで働くところである。工場は、協業の経済が基本をなし、規模の経済や様々な分業と有機的に結合して、以前にはなかったような「生産力の創造」空間となる。 かなり多くの労働者を同時に充用することは、「労働過程の対象的諸条件に一つの革命」を引き起こす。建物や倉庫、用具、装置など、生産手段の一部が共同に消費されるようになり、多くの人々の同種の作業に連続性と多面性を付与し、生産手段の利用度アップや規模拡大をもたらす。労働の空間範囲を拡張するだけでなく、(生産規模に比べての生産領域の)空間的縮小をも可能にする。空間範囲の縮小は、労働者の密集、いろいろな労働過程に近接、生産手段の集中から生ずるもので、多額の空費を節約させる。 協業は、「多くの力が一つに融合することから生ずる新たな潜勢力」を生みだす。社会的接触は、競争心や活力の独特の刺激を生みだし、それらが各人の個別的作業能力を高める。他人との計画的な共同のなかで、労働者は彼の個体的な限界を抜け出て彼の種族能力を発揮する。 一つのオーケストラが指揮を必要とするように、工場においても多数の賃金労働者の協業が発展し共同労働の規模が大きくなるにつれて、指揮や監督・媒介の機能が不可欠となり重要性を増してくる。資本家に委ねられた指揮の機能は、資本の独自な機能として独自な性格をもつようになる。 資本家の指揮は、一面では社会に必要な生産物を生産する社会的労働過程であり、他面では資本の価値増殖過程であるという、二重性をもっている。したがって、その指揮には専制的な側面が避け難く、いっそう大規模な協業の発展につれて、その専制は特有な諸形態を展開する。労働過程では、資本の名において指揮・監督する産業士官(支配人)や産業下士官(職工長)などの階層を生みだす。 (1)K.マルクス『資本論』第1巻第4篇。 (十名直喜) |