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近代経済学 |
景気循環 好況と不況が交代すること。ケインズ経済学の影響が強かった時代には、経済成長と対になる概念だった。すなわち、労働などの生産資源を完全に利用した生産水準が成長することが長期の経済成長とされるが、短期的には総需要の動向によって、経済はそこから乖離したり復帰に向かったりする。この後者が「景気循環」だと考えられてきた。 しかし、このような区分は、新しい古典派の勝利によって一時消えた。特に、1982年のキッドランドとプレスコットの論文で有名な「リアル・ビジネスサイクル理論」が現れ、非自発的失業が終始存在しない世界で、供給側の生産性ショックだけで、貨幣的要因一切なしに景気循環が説明されるようになった。 この理論の非現実性は当初から指摘されてきたが、今日、この理論の方法論的枠組みに則りながら、なおかつ需要要因から不完全雇用になって景気が変動することを説明する理論が開発されており、再び、長期的な経済成長とは区別された景気循環の重要性が認識されるようになっている。 <景気循環の原因> 新旧のケインズ理論において、景気の拡大ないし縮小過程の原因として大まかに合意されるのは、将来予想の楽観(悲観)と設備投資拡大(縮小)の整合と、これを止めるべき利子率の動きが、拡大期での貸付増大や不況時の流動性選好で機能しなくなることである。好況から不況へ、不況から好況への転換がどのようなメカニズムで起こるかは、難問として残されている。 (松尾匡) |