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近代経済学 |
フォーディズム フォーディズム(fordism)とは、フォード・システムに由来する。1910年代にヘンリー・フォードはベルトコンベアによる流れ作業方式を導入したT型自動車の大量生産を開始した。その際、高賃金と8時間労働制という当時としては画期的な労働条件で労働者を雇用した。テーラー主義の原理にもとづく単純繰り返し作業は苦痛であったが、高賃金と短時間労働がその代償であった。また労働者たちは価格の急低下したT型車の購入者ともなった。 戦後、アメリカを中心として資本主義諸国は程度の差はあれ高成長が長期にわたって続いたが、1970年頃に行き詰まった。戦後の高成長の持続はなぜ可能であったのか、それがなぜ行き詰まったのかについて一貫した論理で説明をしようとしたのがレギュラシオン学派であった。 彼らは戦後の大量生産・大量消費の持続的な拡大をフォーディズム的発展様式と名づけるとともに、そうした発展様式が危機に陥ったことに原因を求めた。そこでのフォーディズムとは、労働者がテーラー主義を受容する代償として生産性上昇率に見合った賃金上昇を保証するという労使妥協が事実上成立した蓄積体制のことである。その体制が危機に陥ったのは、ある程度豊かになった労働者は、テーラー主義的な労働を忌避するようになり、賃金上昇に生産性の上昇が追いつかず、利潤が圧縮され、投資が減退したこと、また消費が規格品の大量消費から個性的消費に移行するのに適合した多品種生産を実現するためには、生産システムの改変や新製品の開発が必要であるが、労働者の配置転換や新職種への転換に協力が得られず、労使妥協が崩壊するとともに、企業も利潤圧縮のために新投資が困難になったためである。 以上がレギュラシオン学派によるフォーディズム体制とその危機・崩壊の説明である。 (1)アントニオ・グラムシ『アメリカニズムとフォーディズム』(1933年頃)同時代社、2006年。 (2)ミシェル・アグリエッタ『資本主義のレギュラシオン理論』(1976年)大村書店、2000年。 (北村洋基) |