基礎研WEB政治経済学用語事典

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 オートメーション

 オートメーション(automation)とは、もともとは人間の諸労働とくに制御労働の大部分を不要とする高度に自動的な機械化であり、またそのことを可能とする生産方法を指すautomatic operationあるいはautomatizationを短縮した造語である。
 
 1947年に高度に自動化されたトランスファーマシンを中心としたフォード社の新工場が建設された際に、オートメーション部が設けられたことが最初であるといわれている。1950年代にオートメーションという用語が広く使われるようになったが、まだコンピュータによる制御ではなく、機械段階における高度な自動化であるというのが実際であった。しかし1970年前後にはコンピュータによる集中制御による生産システムが次第に普及し始めた。そして1980年頃には産業用ロボットやNC工作機械など、マイクロエレクトロニクスを組み込んだ柔軟な生産システムが本格化し、ファクトリー・オートメーション(FA)という用語が使われた。この段階においてようやく労働手段が機械という範疇を超えたオートメーション段階にいたったといえるのではないだろうか。またこの頃、事務の機械化・合理化としてオフィス・オートメーション(OA)という用語も使われたが、まだ実態を伴ったものとはいえなかった。
 
 オートメーションという用語は、機械を超えた労働手段として理解するには歴史的な発展との乖離があるために、科学的な用語ではないとか、機械という範疇における発展として理解すべきだという議論もある。
 
 

(1)サミュエル・リリー『オートメーションと社会の発展』みすず書房、1957年。
(2)松石勝彦『コンピュータ制御生産と巨大独占企業』青木書店、1998年。
                                       (北村洋基)