基礎研WEB政治経済学用語事典

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 科学技術
 科学技術と一括りにされるが、科学(Science)は認識に関わり、技術(Technology)は実践に関わる概念である。すなわち科学は客観的な認識を目的とする活動であるのに対し、技術は歴史的に形成された実践の形態=方法である。よりすぐれた実践の方法を発見するには、正確な認識を必要とするところから両者は結びつく。
 
 生産技術の物質的契機は労働手段、労働対象、生産物である。工学(Engineering)は技術学ともいい、特定領域の工業技術に関する科学である。資本主義的生産では生産技術を改良して超過利潤を得るために、科学が利用される。またそのために企業でも研究開発活動(R&D)が行われている。
 
 科学は客観的な認識を目的とするが、自然観や科学思想などのイデオロギーから自由ではない。また技術進歩は意図しない環境破壊などの負の作用をもたらすことがある。とりわけ利潤目的に一面化された技術の展開は労働疎外、消費生活の疎外、自然破壊をともなう。また科学や技術は兵器に適用され、大量殺戮と結びつくことがあった。
 
 それらの負の側面を克服し、科学・技術を人間の全面発達に役立てる道もまた、科学的な認識とそれに基づく有効な実践にあるといえよう。
 
                                        (野口宏)