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環境問題 自然は、それが汚染、破壊されても自らのうちに回復する潜在力を持っている。たとえば、山火事により焼き払われた山林は、しばらく経つと若葉が広がり、数年後には復活する。環境問題(environmental issues)とは、人間社会の多様多種な自然に対する負荷のなかで、自然がその治癒力を大幅に低下させている問題である。 環境問題について、1993年に制定された環境基本法では、第1条で「環境の保全により、現在および将来の国民の健康で文化的生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする」と、健康で文化的生活に直接資するものであること、福祉にかかわることが明記されている。第2条では、環境の破壊と公害に触れている。環境破壊は、地球全体の規模となっており、温暖化、オゾン層の破壊、海洋汚染、生物種の減少などであり、公害については大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭の7つが上げられている。第3条では、生態系との関係で、環境は人間が存続する基盤に当たり、人間自身がそのマイナス要因となっている現状を明示している。「生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており、人類の存続の基盤である環境が人間の活動による環境の負荷によって損なわれるおそれが生じてきている」。第4条では、新しい概念である、環境改善と持続的発展という一見相反する両者をバランスよく結びつけるというスタンスが示されている。「環境への負荷が少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されること」。 (1)ドネラ・H・メドウズ他、大来佐武郎監訳『成長の限界』ダイヤモンド社、1972年。 (2)有吉佐和子『複合汚染』新潮社、1979年。 (3)レイチェル・カーソン、春樹簗壱訳『沈黙の春』新潮社、1987年。 (4)レイチェル・カーソン、上遠恵子訳『潮風の下で』宝島社、2000年。 (梅垣邦胤) |