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近代経済学 |
生産価格 資本の有機的構成の異なるいくつかの生産部門を考える。そしてその場合、社会的総資本はそれらから構成されると考える。価値どおりの交換を前提すれば、それぞれの部門での利潤率(特殊的利潤率)は、剰余価値率を一定と仮定すれば異なる。資本の部門間競争の結果として、各部門の前貸資本(投下資本あるいは充用資本)に対してどの部門でも等しい利潤率が成立するとき、その利潤率を一般的利潤率と呼ぶ。また、充用資本にそれを乗じたものが、平均利潤であり、この値は各部門でふつうは異なる。費用価格+平均利潤=生産価格である。固定資本は流動資本よりも回転期間が長いので、生産過程で少しずつしか価値移転がなされず、充用資本と費用価格とは一致しないのがふつうである。 いわゆる「転形問題」で重要なことは、価値による生産価格の概念規定といわゆる「費用価格の生産価格化」の問題とを峻別することである。前者は、社会の総剰余価値を各部門に均等配分するというプロセスが問題とならざるをえず、競争、すなわち資本の部門間競争によって媒介される。マルクスの『資本論』第3巻第2編第9章で、生産価格の概念規定がなされ、第10章の前半部分で、部門間の競争過程が扱われている。 他方、「費用価格の生産価格化」とは、資本家がたとえば生産手段を他の資本家から購入するとき、価値どおりではなく、生産価格で購入せねばならないという問題を、どのように、「総計一致の二命題」を満たしつつ解決するかという問題であり、上の問題のような、資本の一循環(生産過程および流通過程から成る)を扱うのでなく、直接には、流通過程のみを対象としている。 「転形問題」の論争史を顧みるとき、総計一致の二命題のうち一方が成立しないというのが通常の解釈である。通常、総剰余価値と総利潤は等しくなく、『資本論』において、価値法則が「転形」されつつも、成立するということになる。このことは、マルクスがヘーゲルの弁証法を踏まえていることからしても、論理的に不合理ではない。 (1) マルクス『資本論』第3巻第2編。 (山田祥夫) |