基礎研WEB政治経済学用語事典

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近代的土地所有

 資本主義の発展は、工業と農業の関係で見ると、工業において資本・賃労働関係が支配的であるのと同様、農業においても農業資本家と農業賃労働者の関係が成立発展していく。近代的土地所有者(地主)は、この農業資本家に土地を貸し出し、差額・絶対両地代を取得する階級である。マルクスは、この関係を、資本・土地所有・賃労働関係という資本主義の3大階級と論定し、次の6点に整理展開している。
 
 @近代的土地所有は、資本によって規定された土地所有である。
 Aしたがって、前資本主義的土地所有(封建的共同体的など)は、資本にとって破砕の対象となる。
 B土地所有自体は、このような資本主義化のなかで自らの立脚点を資本との関係に移行させる。すなわち、膨大な農奴層を土地から駆逐する。
 C土地から駆逐された旧農民層は、さしあたり遊民となる。
 D資本は、大工業の成立と拡大の過程の中で、Cの遊民を賃労働者として雇用する。
 Eこの段階で土地所有者は資本にとっては、地代を要求し、利潤削減要因となり、否定的側面が現れる。
 
 

(1)尾崎芳治『経済学と歴史変革』青木書店、1990年。
(2)梅垣邦胤『資本主義と人間自然・土地自然』勁草書房、1991年

 
                                       (梅垣邦胤)