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近代経済学 |
市場メカニズム 各自が自分の有利になるように自由な取引を行えば、社会の欲求に比べて少ないものは価格が上がって儲かるようになるので生産が増え、欲求に比べて多いものは価格が下がって儲からなくなるので生産が減り、かくして、社会全体で人々の欲求に合わせた生産が自動的に実現するというメカニズム。これによって、労働などの生産資源が、人々の欲求にあわせて様々な生産部門に無駄なく配分される。 アダム・スミスが最初に明示的にこれを論じて以降、経済学はこのメカニズムの解明を中心的な課題の一つとしており、これが基本的にスムーズに働くとみなす学派と、それに対して批判的な学派とが対立してきた。 <歴史的前提> 市場メカニズムが十分働くためには、市民革命によって全社会的に確立された次の二前提が必要とされる。 1)取引の自由 各自が、身分的制約を脱し、取引相手や自分の供給すべきものを自由に選ぶことができる。 2)私有財産制度 市場活動にともなう成果と損失が、その決定主体に排他的に帰属すること。これによって、人々の欲求に合わせた生産資源の無駄のない使用へのインセンティブがもたらされる。 <市場メカニズムの限界> 市場メカニズムが理想的に働くためには、「完全競争」「外部性がない」「完全情 報」などの前提が必要であるが、現実にはこれらは多かれ少なかれ満たされないので様々な問題が発生する。詳しくは「市場の失敗」の項を参照のこと。また、市場均衡に向かう運動の安定性は無条件で保証されるものではなく、条件が必要だということが知られている。さらに、市場メカニズムは、人々の間への生産資源の初期分配の公正さをもたらすものでもない。資源の不平等な初期分配から市場メカニズムによって帰結する均衡が、次の資源配分を一層不平等にして、以下この過程が繰り返されることで不平等が拡大していくこともあり得る。 (松尾匡) |