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流動性のわな 総需要不足から貯蓄過剰になり名目利子率が低下して、それが十分低い値になると、誰も流動性を手放す誘因を持たず、すべて貨幣で持とうとするようになる。すると以後債券供給が増えないので、名目利子率はその水準で止まる。完全雇用のための投資需要にはそれより低い名目利子率が必要ならば、不完全雇用のまま経済は均衡してしまう。特に、デフレ予想のために実質利子率が高いならば、名目利子率がほとんどゼロになってもこのことが起こる。 こうなると、貨幣発行が増やされたり、物価下落で手持ち貨幣に余裕ができても、手元に増えた貨幣をすべて貨幣のまま持つので、総需要の拡大にはまわらない。これを「流動性のわな」と言い、90年代終わりから00年代初めの日本ではこれが起こったと言われる。 (松尾匡) |