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近代経済学 |
外部経済 経済活動の費用や便益が取引当事者以外に及ぶことを「外部性」と呼ぶ。「外部経済」とは、プラスの外部性、すなわち、取引当事者以外に便益が及ぶ場合を言う(逆は外部不経済)。伝統的には養蜂業の果樹園などに与える外部経済があげられていたが、近年では教育や研究開発の外部経済効果が盛んに研究された。 外部経済がある場合、当事者が生産決定に考慮するのは、自己に帰属する分の便益だけなので、市場に任せると社会的に最適な生産量より少ない量しか供給されなくなる。したがって、このようなケースでは、政府が供給に比例した補助金を出すなどの介入をすることが正当化される。 すでにまとまった量の取引がなされていることが、外部経済効果を与えることがある。これが「ネットワーク外部性」と呼ばれ、例えば、OSのウインドウズがある程度の量広まれば、ウインドウズを使うことの便益が増して、ただ広まっているというだけの理由でますます広まる。バスの便数が多ければ、バスを使うのが便利になって利用者が増し、ますます便数が増えるなどの例がある。逆に言えば、バスの便が少なくなると、不便になって利用者が減り、ますます便数が減るということも起こる。これらの場合、普及をめざして公的に初期供給を準備したり、利用者が減らないために公的支援をしたりすることが正当化される場合がある。 有名タレントが飲食店の顧客になることで、他の客の効用を高める外部効果があるが、似たような例で、ネットワーク外部性が加わったものに、学校選択制の問題がある。またまた初期の偶然で「優秀」な生徒が多かった学校が、そのために便益が増して、ますます「優秀」な生徒を集めて、格差が開いていくということが考えられる。 (松尾匡) |