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アジア的生産様式 マルクスが『経済学批判』(1959年)で「アジア的生産様式」との言葉を使用し、その後概念が揺らいだために「アジア的生産様式」の理解は現在かなり大きく分散している。たとえば、石茂田正は総体的奴隷をもってそれと理解し、これは旧ソ連・東欧の「家父長的ないし家内奴隷制」をそれと理解したが、封建制ないし農奴制における「アジア的専制」との関係が明確ではない。また、塩沢君夫は「貢納制の別表現」と理解したが、貢納制は奴隷制や農奴制とも両立するので問題がある。このため、ここでは「国家的奴隷制」と「国家的農奴制」の両方をもって「アジア的生産様式」とする中村哲の理解を現代におけるひとつの到達点として示しておきたい。 (1) 中村哲『奴隷制・農奴制の理論』東京大学出版会、1977年 (大西広) |