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熟練 熟練とは、一般的には長期間の訓練や経験を通じて獲得した高い職業的能力のことであり、技能的に優れていることを意味する。熟練は、一見すると職人の手に依存する技の巧みさ、いわば手先の器用さのことであり、頭脳と関係がないように思われるかもしれないが、そうではない。普通、料理人、指物工、陶工などの職人の熟練は、手や身体の内にあるので、言葉や文書として明示化するのはなかなか難しいが、この熟練の背後には頭脳的要素としての知識、すなわち「暗黙知」があるのである。 ブレイヴァマンは、「労働者にとって、熟練(skill)という概念は、伝統的に職業的技能の上達(craft mastery)――すなわち生産の特定部門の遂行に必要な、材料と工程についての知識と経験を積んだ手先の器用さとの結合――と深く関わっている」、と熟練の知的側面を的確に指摘している。彼は、手と頭脳の結合としてのこの熟練が、資本主義の発展につれて衰退してゆく実態を、著書『労働と独占資本』において克明に描写している。 (1)H.ブレイヴァマン著、富沢賢治訳『労働と独占資本』岩波書店、1978年、第5章、第9章、第20章。 (2)村上陽一郎『工学の歴史と技術の倫理』岩波書店、2006年、序章、第1章。 (廣瀬幹好) |