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近代経済学 |
グローバリゼーション 1970 年代に入ると、第2次世界大戦後に形成された国際的政治経済の中心機構に一大 変化が起こった。IMF は金・ドル兌換に基礎をおく固定相場制を廃し変動相場制へ移行せ ざるをえなくなり、欧米の資本は、競って対外直接投資を増大させ国民経済の枠組みを超 えて全世界的に活動幅を広げるのである。すなわち複数の国に生産や販売の拠点をもつ「多 国籍企業( Multinational Companies=MNC )」や「超国籍企業( Transnational Companies=TNC)」などと呼ばれる企業が誕生し、やがてそれらは全地球的規模で活躍す る「地球企業(Global Companies)」と称されるようになるのである。「国際化」や「国際企 業」には国境や国家の経済的主権の範囲が意識されているのに対し、「地球化」や「地球企 業」には全世界を舞台に活躍する企業のイメージが備わり、それがより現実を反映する用 語として徐々に一般に浸透するようになったのである。 こうした国際経済機構の変化は、パクス・アメリカーナとして世界の覇権を掌握してき た超大国アメリカの権威の失墜を意味するものでもあった。さらに、1989 年の “ベルリ ンの壁の崩壊”に象徴されるような旧東欧社会主義体制の崩壊、1991 年の旧ソ連邦の解体 と“独立国家共同体”(Commonwealth of Independent States =CIS)(*1)への分裂などの結 果、第2次世界大戦以降の世界の覇権掌握を巡る“東西対決”の時代が終わりを告げたの である。その結果、1990 年代からの国際関係は、従来のものとは異なる新たな“地球化メ カニズム”が作用する “グローバリゼーション”現象が生まれたとする捉え方が生まれた のである。 さて、“グローバリゼーション”時代の到来は、社会主義に勝利した資本主義体制の支配 権が圧倒的な優位性を示し世界を制覇するだろうとの予測を呼んだ。また、嘗ての超大国 の支配権が世界のすべてを取り仕切る事が出来ず、強力なリーダー国家がなくなり、各国の個別的利益を強く主張する事もなく、いわば平準化した世界が登場するかとも考えられ た。 しかし、約20 年間のグローバリゼーション時代の経験によって明らかになった事は、資 本主義経済の世界的な行き詰まりと各国の経済的・政治的摩擦や地域紛争の激化、地球の 自然資源の枯渇や深刻な環境問題、そして新型インフルエンザの世界的流行・パンデミッ クの恐怖などであった。それは、簡単に国境を越えるカネ・モノ・ヒトの交流が頻繁にな った事に伴って生じた現象であるが、いずれも一国だけで解決は困 難な問題でもある。 さらに、グローバリゼーションの時間の経過とともに、国民国家の枠に捕われない非政 府組織(NGO)非営利団体(NPO)などの組織化が活発になり、一般市民の社会活動への 参加率が急速な高まりがあることは忘れてはならない。これらの組織はインターネット、 通信衛星、電話Fax などの通信機器の驚異的な発展に負う処が非常に大きいのである。 すなわち、科学技術は言うまでもなく、組織や法体系も一国だけで完結するわけでもなく、 グローバル化のためにはインフラストラクチャーの整備も重要になるのである。 *1 当初はグルジアとバルト3国はCIS に加盟しなかった。しかしグルジアは1993 年に一旦加入した 後2009 年8 月18 日正式にCIS を脱退した。またウクライナは欧州連合(EU)への加盟を志向し ており、正式にCIS 憲章を承認せず客員加盟国に留まっている。永世中立国宣言をしたトルクメニ スタンはCIS への加盟資格を永久に停止し客員加盟国のままである。したがって、旧ソ連邦から分 離して成立した15 共和国のうちCIS の正式加盟国は9 カ国である。CIS グループの結成の最大の 狙いは旧ソ連邦の抱える軍事施設や戦略核、弾道ミサイル等に関する管理権をロシアが掌握するこ とであったという見方がある。 |